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病気・診療・検査のお話
 
C型肝炎について
・C型肝炎とはどんな病気?

 特に自覚症状はないんだけれど、健康診断で肝臓が悪いといわれ、調べたらC型肝炎だった。あるいは、献血をしたら、C型肝炎といわれた。このような経験をされた方はいませんか?C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に住み着いており、多くの場合徐々に進行して、慢性肝炎から肝硬変、さらには肝臓癌をおこしてくる慢性の病気です。このようなC型肝炎の人は日本で100万人以上いるとされています。近年肝臓癌で亡くなる方は、年間3万人を超えて年々増加し、肺癌、胃癌に続いて癌による死亡原因の第3位となっています。この肝臓癌で亡くなる方の8割が、C型肝炎です。

・C型肝炎はどやってうつるの?

 C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。まだC型肝炎のくわしいことがわからなかった10年以上前では、輸血や十分消毒されていない注射器の使い回しなどから感染したと考えられます。現在(1994年以降)では輸血用血液に対してC型肝炎ウイルスのチェックがされており、ほとんどの医療機関で使い捨ての注射器が使用されていますので、新しくC型肝炎に感染することはまずありませんが、以前輸血を受けたことがある方は、1度C型肝炎のチェックを受けた方が良いでしょう(特に輸血後に黄疸が出た方)。C型肝炎の方と一緒に暮らしても、日常生活でうつることはありません。感染力が弱いので、性交渉でうつることもほとんどないとされています。(B型肝炎は性交渉で感染します。)

・ C型肝炎にうつるとどうなるの?

 C型肝炎ウイルスに感染すると、通常数週間の潜伏期を経て急性肝炎をおこします。症状は微熱、食欲不振、全身倦怠感などかぜに似た症状です。A型急性肝炎やB型急性肝炎に比べて、C型急性肝炎は症状が弱いので、気づかずにすぎてしまう場合もあります。しかしA型や成人のB型急性肝炎は症状がおさまれば治ってしまいますが、C型急性肝炎はその約60〜80%が慢性化します。慢性肝炎の時期は自覚症状がないために、たまたま血液検査で肝臓の障害を指摘されて気がつく場合がほとんどです。こうして気づかれないまま、慢性肝炎が徐々に進行すると、その約30〜40%の人は約20年で肝硬変になると言われています。肝硬変がさらに進行すると、黄疸、腹水、食道静脈瘤、肝性脳症といった様々な合併症がでてきます。なかでも肝臓癌の合併率が高く、肝硬変になった人の60〜80%はC型肝炎にかかってから20?30年で肝臓癌を発症します。

・ C型肝炎かどうかはどうやって調べるの?

 C型肝炎かどうかは血液検査でC型肝炎ウイルスに対する抗体であるHCV抗体を測定することでわかります。HCV抗体が陽性であれば、現在あるいは過去にC型肝炎に感染したことがわかります。さらにC型肝炎ウイルスが現在も感染しているかどうかは、C型肝炎ウイルスの遺伝子であるHCV-RNAを測定します。これが陽性であれば現在もC型肝炎ウイルスに感染していることがわかります。
 GOT,GPT(あるいはAST,ALT)という言葉をお聞きになったことはありませんか?これらは肝臓の細胞の中に含まれている酵素で、肝炎で肝臓の細胞が壊れると血液中に漏れ出して基準値よりも高くなります。ですからGOT,GPTが高値の場合肝臓に障害があることがわかります。慢性肝炎の場合この異常が6ヶ月以上続く場合を言います。

・ C型肝炎はどうやって治療するの?

 C型肝炎の治療で大切なことは、慢性肝炎のうちに治療して肝硬変や肝癌に進行するのを防ぐことです。C型慢性肝炎の治療には、ウイルスそのものを退治する原因療法と、ウイルスは退治できないが肝炎の鎮静化をはかり、肝硬変への進行を遅らせる対症療法があります。

 原因療法としてはインタ-フェロン療法があります。インタ-フェロンとはもともとひとの体内で生産されるたんぱく質で、ウイルスの増殖を抑えるはたらきがあります。インタ-フェロンは現在C型肝炎ウイルスを退治できる唯一の薬ですが、すべての患者さんに効果があるわけではなく、ウイルスの数やタイプによって違ってきます。ウイルスの数が少なければ(具体的には1ml中に100万コピ-以下の数)インタ-フェロンの効果は高く、積極的な治療の適応になります。またC型肝炎ウイルスにはたくさんのタイプがあり、大きく分けてグル-プ1と2に分けられますが、グル-プ2の方がウイルスの数が多くても効果があります。このウイルスの量やタイプも血液検査でわかります。C型慢性肝炎全体ではインタ-フェロン治療で完治する率は約3〜4割です。ただ完治しなくてもGPTが正常になって肝炎の進行が止まるケ-スもあり、肝癌になるスピ-ドを遅らせることができるとされています。
 対症的な治療法としては、強力ネオミノファ-ゲンCという注射薬や、ウルソという飲み薬を使ってGPTを下げ、肝炎の進行を遅らせる治療が行われています。

 2001年11月より、インターフェロンとリバビリン(商品名レベトール)という薬の併用療法が保険で認められるようになりました。この併用療法では、従来よりもウイルス量が多い方にも効果が期待できます。また各種インターフェロンのアミノ酸の並びで最も出現頻度の高いものを選んで人工的に合成したコンセンサスインターフェロン(商品名アドバフェロン)や週に1回の注射で済むペグインターフェロン(ペガシス)といった新しいインターフェロンも登場してきました。

 さらに2004年10月より新たなペグインターフェロン(ペグイントロン)とリバビリンの併用療法も認められました。この療法により従来では、ほとんど治療効果のあがらなっかった1型でウイルス量の多い方でも、5割近い完治が望めるようになりました。治療法は日々進歩していきます。一度のインターフェロン治療で成功しなくても、あせらず治療を続けていくことが大切です。

・ インタ-フェロン治療はどうやって行うの?

 具体的なインタ-フェロン治療の方法は、通常2〜4週間連日注射後、週3回約20週間前後注射をする方法が一般的でした。しかし現在は治療効果が出ている場合は、引き続きインターフェロンを続けることができます。新しいペグインターフェロンは週1回の注射で済みます。副作用として、初期には発熱、関節痛といったインフルエンザ様の症状が必ず出ます。これは1?2週間でおさまります。その後に出る副作用で問題になるのは、抑うつ気分や間質性肺炎がありますが、頻度は少ないです。その他脱毛をきたすこともありますが、これらの副作用はインタ-フェロンを中止すれば治ります。リバビリンを併用する場合は、貧血をおこすことがあります。
 現在インタ-フェロン治療が保険適応になっているのは慢性肝炎だけです。慢性肝炎と初期の肝硬変をどう区別するかはなかなか難しい場合もあります。一般的には血小板数(10万以下に少なくなると肝硬変の可能性があります)や、肝予備能を反映する血清アルブミン値、プロトロンビン時間、ICG検査などを総合的に判断します。また肝臓に2ミリほどの太さの針を刺し、肝臓の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる肝生検という検査を行えば確実に診断できます。

・ インタ-フェロンが効かなかった場合はどうするの?

 残念ながらインタ-フェロン治療が効かなかった場合は、対症療法を行って肝炎の進行を遅らせることが治療の主体となります。ただウイルスが完全に消えなくても、肝機能が正常になった方には長期にインターフェロンを続けて肝炎の進行を防ぐ治療も行なわれてきています。ですからあせらず、根気よく治療を続けることが大切です。慢性肝炎の状態では自覚症状もないため、治療を怠りがちですが、肝炎は確実に進行していきます。定期的に血液検査や腹部超音波、CTといった画像診断を受けていれば仮に肝臓癌ができても、初期に見つけることができます。そうすれば十分に肝癌を治すことができます。
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